palo もじゃblog

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カイロ:~プロフェッショナル 仕事の流儀~ 


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もじゃ氏がカイロ滞在でお世話になっているベニス細川屋ホテル そこで働く男、近江祥太に迫る物語

※バックサウンド付きで楽しんでいただけたら幸いである。

 近江祥太 彼は世界一周を目指し今年6月に日本を出国した。アメリカ大陸を横断後、フランスで多額の現金をすられ、ヨーロッパでは野宿と野糞と食パンでその命を繋いだ。彼に羞恥心などなかった。イギリスの空港からは追い出され公園ではホームレスの友人ができたりと経験豊富な人物である。そんななかたどり着いたエジプトの地、彼はそこで日本人ホテルスタッフとして来年1月まで働くことを決意する。彼が観光ビザで入国していることはご愛嬌である。

今回日本食に久しく触れていない(といっても一か月)もじゃ氏のために遠い故郷の味 親子丼を作ることとなった。もじゃ氏がその調理の様子を取材した。

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食材にこだわる彼はまずダシを採ることからはじめる。日本から持ち寄った貴重な鰹節パックを贅沢にも2袋使用。当然エジプトでは鰹節を入手することは困難である。

使用する醤油も厳選されている。イスラム国であるエジプトではアルコールを使用した醤油を入手することは難しい。しかし彼はその確かな経験と味覚により日本の醤油の味に最も近い醤油を独自のルートで入手。当然アルコールは使用していないがその味は確かなものである。ここまでで既に彼の親子丼へかける情熱と愛は十二分に伝わっていることであろう。ちなみに彼は親子丼が嫌いであり日本ではまず口にしない。

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厨房に立つ彼のまなざしは真剣そのもの。常に火から目を離すことは無い。あってもせいぜいタバコを吸う5分程度。その間は厨房から姿を消す。彼は言う、地球が誕生してからの年月を考えればタバコの5分など刹那だと。なんともダイナミックなスケールのでかい男である。

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 当然ながら火加減にもこだわる。彼が厳選し搬入させたガス台は火力が強火か弱火かのほぼ二択であるが幾多のフライパンをその手で振ってきた調理のプロである彼には気に留める必要も無いことである。日本ではコンビニ飯しか食べない彼だが当然これは活動エネルギーを最小限に抑える彼のスマートな生き方である。

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使用した卵にも目に留まるものがある。一見素人目からすると如何にもGo to胃腸炎な色味をした卵であるがシェフいわくこれが旨いのだとか。なるほど毒をもって毒を制する 古人の言葉を敬う彼らしい振る舞いである。

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フライパンを振る手付きは5星ホテルのシェフさながらである。

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これぞ氏が考案したノーハンドクッキングである。氏ほどの料理人ともあれば調理に手など不要とのこと。日本では変質者または卑猥な笑みと捉えられそうなこの表情もここエジプトではセクシーの類に入る。

そしてついに待望の親子丼が完成

          それが、これだ!!!!

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これは・・・美味い!!!美味すぎる!!!

素晴らしきタレと米の調和。

なぜゼンショーフーズは近江氏を野放しにし続けるのか。彼は日本の親子丼史を変えうる才能の持ち主だといえるのに!非常に勿体ないことである。

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厨房は戦場と表現さることがよくあるがこの一枚にそれが込められているのではないか。12時間を超えるオペを終え心身ともに憔悴しきった医師さながらの姿である。

親子丼という日本料理の神髄ともいえる逸品を完成に導いた男の姿がここにあった。

もちろんこれはホテルスタッフとしての仕事中の姿を捉えた貴重な一枚である。彼以外のスタッフは勤務中ソファに寝転ぶどころか腰かけることさえしないが彼は違う。タバコ ケータイ パズドラ YouTube ギターそのほか思いつく限りのあらゆる娯楽を楽しむ。もちろんオーナー、ボスが不在の時だ。ボスが居るときは真面目なスタッフとしての仮面を被る。持て余す時間を最大限有効に使う、なんともウィットに満ちたビッグな人物である。

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ギタリストとしての側面を持つ近江氏 得意曲はエリッククラプトンでTears In Heaven しつこいようだが勤務中の姿である。もちろんボスは不在

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かと思いきや突然仕事を開始する氏 つまりこういうことだ。できるスタッフは最小の時間で最大の成果を上げ、後の時間はプライベートとして用いても咎められることがないということだろう。今回の取材は彼のほんの一面を捉えたに過ぎない。これからの氏の活躍に大いなる期待を寄せつつ締めとする。